note

新しい取り組み

New
Approach

現在進行中の事例を中心に、OECグループの新たな挑戦をご紹介します。

3D/AR Disaster Visualizer 3D・AR技術を使った防災可視化 

株式会社Eukarya(ユーカリヤ)との協業
「見えないリスク」を、
3Dで見えるようにする

背景・課題

BACKGROUND

自治体が抱える課題
——「整備された情報」が現場に届かない

近年、気候変動に伴う台風・線状降水帯・豪雨などの気象災害が激甚化・頻発化しています。南海トラフ地震や首都直下型地震の発生リスクも依然として高く、自治体の防災対応は喫緊の課題です。

洪水ハザードマップはほぼすべての市区町村で作成が完了している一方、内水ハザードマップの公表率は約11%(2023年3月末時点)にとどまっており、多くの自治体で対応が追いついていないのが現状です。さらに、住民へのアンケートでは「ハザードマップを見たことがない」と回答した人が約3割にのぼります。「自宅にとどまってよいか分からない」「どのような危険があるのか知らない」といった声が上位を占め、平面の地図では直感的な理解が難しく、いざ災害が起きたときに活かされていないケースが数多くあります。

都市計画の分野でも、DX化によって整備された情報が日々の業務や市民への情報公開に十分活用されていない実態があります。行政組織の縦割りにより一部だけのデジタル化しか達成できていない場合が多く、用途地域や建築基準法に関する情報、開発許可に関するルールなど、都市計画課が管理する膨大なデータが担当職員の知識の中にとどまり、住民や事業者が活用しやすい形で提供されていないケースが少なくありません。

取り組み内容

APPROACH 01 Re:Earth × PLATEAUとの協業
3D都市モデルで課題を解決する  

2020年に国土交通省が展開した「Project PLATEAU」は、都市空間を3Dで再現し、浸水被害やリスクを可視化することで、より的確な防災・減災対策やリスク分析を可能にしています。このPLATEAU VIEWの基盤となっているのが、東京大学大学院とEukarya社(Eukarya)の共同研究から生まれたオープンソース地理空間データプラットフォーム「Re:Earth」です。当社は、このプラットフォームを開発・運営する株式会社Eukaryaと協業し、自治体が抱える都市計画・防災分野の課題解決に向けた取り組みを進めています。

APPROACH 02
都市計画への活用
用途地域・建築ルールの可視化とシミュレーション 

3D都市モデルに用途地域情報を重ね合わせ、建築基準法や自治体独自のルール(最低敷地面積・建蔽率・容積率など)に基づいたシミュレーションと立体的な可視化を実現しています。担当職員が窓口での説明に活用できるだけでなく、住民や開発事業者が自ら条件を確認できる情報公開ツールとしての活用も見込まれます。デジタルで整備した情報を「実際に使われる情報」へと変えることが目標です。

APPROACH 03 防災への活用
3Dハザードマップによる事前準備と災害時対応

既存の災害情報・避難所情報・避難経路データをもとに、3Dハザードマップを構築しています。平面地図では伝わりにくかった浸水深や地形の起伏を立体的に表現することで、出前授業や避難訓練などの事前準備において、住民が自分ごととして理解できる防災教育ツールとして機能します。避難所の確認やルート検索も直感的に行えるため、地域の防災リテラシーの向上に貢献します。

OECからの提供 Eukarya社からの技術協力
上下水道・インフラの現場知見 Re:Earth(3D都市モデル対応地理空間データプラットフォーム)
全国の自治体との信頼関係 AR・浸水シミュレーション技術
業務要件の整理・設計力 オープンソースによる高い拡張性

今後の展望

WHAT’S NEXT 「事前準備」から「リアルタイム対応」、そして「インフラの未然防止」へ

都市計画の分野では、3D都市モデルを活用したtoG(行政向け)・toB(民間企業向け)の展開を視野に入れながら、地域の都市づくりをデータで支える仕組みの構築を進めていきます。 防災の分野では、平時の備えにとどまらず、実際に災害が発生した際にも活用できるリアルタイム情報連携の実現を目指しています。避難所の開設状況、浸水・土砂災害の発生情報、被害状況のリアルタイム更新など、「事前に備えるための地図」から「災害時にも使える情報基盤」へと進化させることが次のステップです。 さらに、水インフラの老朽化対策と事故の未然防止にも取り組んでいきます。2025年1月、埼玉県八潮市で老朽化した下水道管の破損を原因とする大規模な道路陥没事故が発生し、周辺約120万人に下水道の使用制限が課される事態となりました。高度経済成長期に整備された水道・下水道インフラが全国で一斉に耐用年数を迎えつつある今、3D都市モデルに地下埋設物データを統合することで、点検結果の蓄積・分析、部品交換時期の予測、予防保全の高度化が期待されています。「起きてから対処する」のではなく、「起きる前に備える」インフラ管理の実現に向け、デジタルと現場知見を掛け合わせた新しい価値提供を目指します。

Infrastructure DX インフラ維持管理の「判断」をDXで支援

東京都
「Next Edge Tokyo」採択——OREN-GE。
住民情報を起点にした
維持管理プラットフォームの
実証

背景・課題

BACKGROUND

「予防保全」が十分に機能せず、事故・災害リスクの顕在化が懸念

社会インフラの老朽化や気候変動に伴う災害の頻発により、維持管理の重要性が急速に高まっています。自治体のインフラ担当者が日々直面しているのは「情報の散在」という問題です。管路・施設の状態を示すデータは存在するものの、紙・Excel・複数のシステムに分散しており、「どこを、いつ、どのくらい優先して直せばいいか」を判断するための統合的な情報基盤がありません。担当者の高齢化と人員不足が進むなか、ベテランの経験に頼っていた「優先度判断」をいかにシステムで支援するかが、全国の自治体に共通する課題です。 ・部局・台帳の分断(サイロ化)により対応が非効率 ・人手不足により現況把握・迅速な対応が困難 ・災害時の情報連携・周知の遅れ ・住民参加が継続しない仕組み ・修繕・更新の優先順位が見えにくい

取り組み内容

APPROACH 住民・行政・民間が一体となって社会インフラを支える仕組みへ 

東京都の中堅企業成長支援プログラム「Next Edge Tokyo」に採択され、住民・行政・民間が一体となって社会インフラを維持管理する新たな仕組みの構築を進めています。 ・住民がスマートフォンからインフラの異常を投稿(位置情報・写真)  ・AI・データ処理により状態判定・優先順位付け  ・修繕指示・実行・台帳更新まで一気通貫で管理  ・3D GIS上で災害情報(洪水・土砂・避難所等)を可視化  ・対応状況を住民へ公開し、透明性を確保  ゲーミフィケーションやインセンティブにより住民参加を促進し、将来的には一部の点検業務を住民主体へ移行することも視野に入れています。 OECは上下水道分野において、インフラの調査・計画・設計・施工監理までの一貫した知見、更新計画・耐震化・台帳整備の実務ノウハウ、自治体との強固な関係、3D GIS・点群データ・PLATEAU活用実績、グループ内でのシステム開発体制を培ってきました。「インフラを知る企業だからこそ実現できる現場起点のDX」として、社会インフラを住民と共に支える仕組みの実現を重要な使命と捉えています。

今後の展望

WHAT’S NEXT 01 インフラ管理のあり方そのものを変革する

2026年度以降、長野県内の自治体での実証・導入を予定しています。検証を通じて得られた知見をもとに、全国展開を視野に入れたサービス化を目指します。

WHAT’S NEXT 02 社会インフラ維持管理の高度化

  • 予防保全の定着
  • 修繕・更新の最適化
  • インシデントの未然防止

WHAT’S NEXT 03 都市OSへの発展

  • センサー(雨量・水位等)との連携
  • 準リアルタイムでの都市管理
  • データ統合基盤としての機能拡張

WHAT’S NEXT 04 新たなエコシステムの形成

  • 中小企業・スタートアップの参入促進
  • 住民参加型の新たな公共サービスモデル
  • データ活用による産業創出

PE Exam AI System 技術士試験対策AIシステムを自社開発

技術士試験対策AI 開発・実用プロジェクト「STREAM」
——社内の課題を落とし込み、クラックスシステムの知見と
融合させることで
始まった新しい取り組み

背景・課題

BACKGROUND

学習の進め方とモチベーションが、
合否を左右する

技術士試験は難易度の高い国家資格として知られています。数年かけてじっくり挑戦される方がいる一方、効率的な学習によって一度の受験で合格される方もいます。その違いは、勉強量だけでなく、学習の進め方や取り組みやすさ、モチベーションの保ち方にあると考えました。「まずは無理なく学習を始められること」に着目し、時間や場所を選ばず取り組めるオンライン学習プログラムの提供を検討。忙しい方でも自分のペースで学びを進められる環境を整えることで、技術士試験への第一歩をより身近なものにしたいと考えています。

取り組み内容

APPROACH 技術士試験対策をとっつきやすく。
社内の経験とAI技術を掛け合わせた、実践的な学習支援ツール 

実は、先に新規事業として「技術士試験対策」のソフトを他社との協業で開発し、外販する企画が立ち上がっていましたが、試算の段階で売れなければ大赤字となることが分かりました。「それならば内部開発・内部専用・無償提供で、社内の技術士合格者を増やすための教育ツールにすべき」と判断し、クラックスシステムに相談。 すぐにクラックスシステムにおいて Claude Code を活用し、2月末に企画、3月にサンプル実装と短期間で具体的に「実用版を実装可能である」と経営層に示しました。OEC×クラックスシステムの開発・監修体制をつくり、社内に在籍する技術士試験合格者の知見や実体験を随所に取り入れながら、5月にローンチを迎えました。現在も完全版ではなく、アジャイルで適宜意見を取り入れながらアップデートしています。
今のところ外販予定はないため、内容は省略しますが、ご希望があればイベント時にデモンストレーションをおこなっています。

今後の展望

WHAT’S NEXT グループの連携を活かし、全社利用・全員合格を目指す

本プロジェクトは社内連携の面でも大きな支えがあります。まず、社内の技術士で監修チームを作り、内容の検証をしていること。また、OECとクラックスシステムが業務上一緒に活動することが多く、日常的に相談しやすい環境が整っていたことが、早期開発につながりました。 現在は、これから技術士試験に挑戦する若手社員を中心に試用しており、実際の学習現場から寄せられるフィードバックをもとに、より使いやすく、実践的なツールへと改善を進めています。新卒社員を中心とした技術士補の試験対策版についても、秋にリリースします。 STREAMは、グループの強みを活かした協働が自然な形で進み、相乗効果を発揮できている好例のひとつです。
OECグループとして、今後も組織や部門の枠を越えた連携を大切にしながら、より価値のある取り組みへと発展させていきます。