オリジナル設計株式会社

下水道


【持続】経営基盤の強化

1.下水道ビジョンの策定業務

概要
 全国の下水道処理人口普及率は約78.8%(平成30年3月末現在)です。しかし、未だ普及率の地域格差は大きく、抱えている問題も多種多様です。今後は、人口減少の本格化や厳しい財政事情、環境負荷の低減、災害対応等の下水道をとりまく社会の様々な諸情勢に対応し、普及拡大から維持管理・健全な下水道経営、更には健全な水資源・水循環創出という「地域特性を活かした持続可能な下水道(サスティナブル下水道)」としての新たな取り組みが強く求められています。

 そこで、各市町村の下水道事業の将来像や施策優先順位を明確にする「下水道ビジョン策定業務」をご提案します。

下水道ビジョン策定業務

(出典:将来像を描く「下水道ビジョン策定業務」の提案/
公益社団法人全国上下水道コンサルタント協会(水コン協)HP)




2.下水道資産の調査・整理・評価業務

概要
 地方公共団体は、健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)のいずれかが早期健全化基準以上である場合には、当該健全化判断比率を公表した年度の末日までに、「財政健全化計画」を定めなければなりません。平成21年4月に全面施行された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(通称:健全化法)」では、地方自治体の財政破綻に対する未然防止を目的に、財政健全化計画、財政再生計画、経営健全化計画の策定が義務付けられました。財政の健全化を図るためには、企業会計への移行が望ましいですが、財政指標をより正確に把握するために、保有する固定資産の正確な調査・整理・評価が必要です。

 膨大な資産情報を調査し、整理・評価・データベース化を効率的に行うためには、資料の整理・保管状況を把握し実情に合った手法を選択する必要があります。OECでは、資料の整理・保管状況の調査により、各自治体の実情に合った調査・評価手法を提案します。また、移行後の発展性のある運用を考慮したデータベース化を行います。OECでは、@法適用の範囲検討(全適、一部適用)、A固定資産の整理方針(簡易・標準・詳細)、B決算書整理、C資産調査・整理、D資産評価までを行っています。

 ここでは、固定資産調査・整理・評価の作業フローについて記します。


 一般的に、下水道道事業における資産の調査・整理・評価の方法のうち、「資産の整理」が最も時間がかかります。「詳細整理手法」、「標準整理手法」、「簡易整理手法」の3つに分類できます。各手法の特徴を以下に示します。


資産整理手法の特徴比較表

項 目

A 詳細整理手法

B 標準整理手法

C 簡易整理手法

概要

実態資産を管理するシステムデータを利用して、資産整理を実施する。なお、台帳システムがない場合は、台帳システムを構築することからはじめる。

管路に関しては、工事毎に整理し、処理施設・設備等に関しては、主要機器構成で1資産とする。(1資産の内訳を明確にする)雨水・汚水区分も明確化する。

勘定科目及び耐用年数の区分に沿った資産整理単位で調査・評価を実施する。

主要な調査資料

決算書、決算説明書、工事履歴、設計書、完成図書、下水道台帳、備品台帳、土地台帳、補助申請図書など

決算書、決算説明書、工事履歴、設計書、完成図書、下水道台帳、備品台帳、土地台帳、補助申請図書など

決算書、決算説明書、工事履歴、決算統計、施設工事設計書

資産整理単位

勘定科目+工事毎管種口径別延長・設備機器単位

勘定科目+工事毎+施設構成

勘定科目

作業の難易度

資産調査に加えて台帳作成を行うために完成図書などを理解する知識が求められる。

資産が多種多様となるので、ある程度の専門知識が必要となる。

工事台帳や設計書程度の資料を基に作業を行うので特に専門的な知識は必要としない。

作業期間(資産調査の作業期間)

長期(約2〜3年)

やや長期(1〜2年)

短期間(約1年)

直営での作業の可能性

台帳作成に関する部分は委託する必要がある。

直営でもできるが組織体制を整える必要がある。日常業務への負担が大きい。

直営でもできる委託した場合でも安価

委託費

高価(台帳システムの導入費が必要)

やや高価

安価

資産数

やや多

減価償却費の観点

標準整理手法と同様

資産の括りが実態とある程度一致する考え方であるため、特に問題はない。

資産の括りが大きいため実態とそぐわない。そのため、経理上の資産と実体資産が乖離していくことが考えられる。

異動処理などの対応(除却など)

台帳システムの情報を活用できるため、確実な除却資産特定が可能となる

比較的簡単に除却資産の特定が行える。(工事情報などから)

除却資産の特定が難しい

新規資産の登録などの運用

台帳等の新規情報構築の運用が必要。

やや簡単

簡単

(出典:「下水道事業における企業会計導入の手引き」社団法人日本下水道協会)


 本業務では、@法適用の範囲検討(全適、一部適用)、A固定資産の整理方針(簡易・標準・詳細)、B決算書整理、C資産調査・整理、D資産評価を行います。



3.地方公営企業会計への移行支援業務

概要
 多くの地方公共団体では、下水道事業特別会計で採用している官公庁会計方式(現金の入りと出に着目して、収入から支出を差し引き、最終的に現金がどれだけになったかを記録する方式)を採用しています。下水道事業については、法の規定を適用するか否かは各地方公共団体の自由意志「任意適用」となっています。平成19年度地方公営企業決算状況調査のデータによれば、全国の公共下水道事業1,197事業(特定公共下水道、流域下水道などは含まない)のうち、法適用は174事業(14.5%)、法非適用は1,023事業(85.5%)となっています。
 下水道経営が適正になされているかについて、利用者の皆様に、一層の説明責任を果たし、経営状況や財政状況をより詳細に把握することのできる公営企業会計方式を公共下水道事業に適用していくことは有効な手段です。

業務実施のメリットや効果

決算書類等をそのまま議会の認定に付すことができます。
企業会計方式による決算情報は、官庁会計方式と比べて多様であり、経営判断を行ううえで有利となる書類が豊富です。
同一基準で他の地方公営企業法適用団体と比較できます。
新地方公会計制度への対応が容易になります。
消費税の削減効果があります。

 OECでは、公認会計士の指導のもと専門的な知識と豊富な経験を有する担当者により、@地方公営企業法適用事務支援業務、A会計システム構築、をスムーズに行い、法適用を実現いたします。

【地方公営企業法適用事務支援業務】
 本業務の特徴は、自治体職員の皆様とOECのスタッフが一緒に考え協力し合いながら準備を進めていくことにあります。職員の皆様との一体となった業務を通じて、導入への意識を高め知識の向上を実現することができます。綿密な職員研修を行いスムーズな実運用に繋げます。

法適化に伴う事務手続き



【固定資産台帳システム・財務会計システム構築業務】
 OECでは、北海道から沖縄県まで全国的な導入実績が豊富なシステムを採用することで、安定した性能と発展性のあるコストパフォーマンスの高いシステムを構築します。また、固定資産台帳システムと財務会計システムの連携についても、豊富な実績のもと、運用面でのサポートや発展性において安心できるシステムを実現することができます。

システム構築



4.長期的な経営計画(統廃合・運営形態の検討)策定業務

概要
 近年では地方交付税の削減、少子高齢化の進展、使用料収入の伸び悩み等、下水道事業の抱える課題は尽きません。これらの課題を整理し、経営理念、事業の方針・施策、経営方針、行動指針等について方向性を確認していく下水道事業の経営計画が重要となっています。
 今後あるべき姿を提示し、様々な事業計画の基本方針を策定するために、ストック・アセットマネジメントや地方公営企業会計の導入の是非を含めた検討を行うものです。


業務実施のメリットや効果

経営基盤の強化。
市民への事業方針や状況の開示ができ、開かれた下水道として身近に感じることが可能。
指標等により経営状況が示され、、経営計画が数値目標等で表わされるため方向性が明確化する。

 長期的な経営計画の課題としては、適正な使用料収入の確保、公債費の削減と抑制、維持管理費の抑制、公共下水道接続の促進等があります。
 本業務では、現状の経営分析を行い、全国の類似都市の経営情報を基に、下水道事業会計だけではなく、上水道事業や一般会計、社会資本ストックを含めた総合的な分析・診断を行い、改善方策を立案します。下水道経営に関する情報の分かりやすい概要版を公開するなど、市民の下水道事業への理解を深めていただくよう配慮してまいります。
 今日では市民のニーズや時代の変化に対応した事務作業の見直し、受益と負担の明確化による効率的な行財政運営等の視点から、水道事業と下水道事業の統合も視野に入れた対策が重要となっています。


有収水量と下水道使用料の予測

1)  行政人口の増加により、有収水量と使用料収入は増加し、流域下水道の維持管理費も増加する。過年度の起債元利償還費が減少するので、資本費としては減少する。
2)  維持管理費の増加に対して、資本費の減少額が大きいので、汚水処理原価は全体として減少し、経費回収率は向上する。
3)  現況の下水道使用料単価を据え置いた場合、経費回収率は平成20年度で62.3%、平成31年度で79.4%になる。
4)  使用料改定期間の経費回収率は、平成23年度が67.2%、平成25年度は71.6%と予測される。

項 目

平成16年度

平成17年度

平成18年度

平成19年度

平成20年度

平成21年度

平成22年度

平成23年度

使用料収入(千円)

501,629

507,462

515,063

516,122

512,606

530,103

535,776

542,185

維持管理費

390,204

396,867

413,487

375,516

382,782

403,280

406,400

409,730

資本費
(起債元利償還費)

394,104

397,398

438,701

421,367

440,146

431,748

416,888

396,823

汚水処理原価(千円)

784,308

794,265

852,188

796,883

822,928

835,028

823,288

806,553


項 目

平成24年度

平成25年度

平成26年度

平成27年度

平成28年度

平成29年度

平成30年度

平成31年度

使用料収入(千円)

547,728

551,725

556,521

560,446

564,989

569,891

574,896

579,363

維持管理費

412,610

414,800

417,230

419,390

421,700

424,370

426,920

429,380

資本費
(起債元利償還費)

376,453

356,391

343,363

332,740

322,098

313,478

302,404

300,000

汚水処理原価(千円)

789,063

771,191

760,593

752,130

743,798

737,848

729,324

729,380


 

5.包括的民間委託の導入検討業務

概要
 下水道は、貴重な社会資本としての施設を健全なかたちで次世代に継承していくことが重要ですが、地方公共団体を取り巻く厳しい財政状況や人員削減、ノウハウを有する職員の大量退職等から、今後、適切な維持管理を行い、各施設が持つ機能を持続的、安定的に提供し続けていくことは重要な課題です。一方、地方財政健全化法、公共サービス改革法の制定などの様々な行財政改革に向けての環境整備もなされ、地方公共団体は自主的、自律的に行政改革を進めています。現在、多くの下水道管理者は、予防保全型の維持管理を求められていますが、財政状況の逼迫等によりサービスレベルを持続することが難しくなりつつあります。
 そこで処理施設及び管路施設の維持管理業務に対して包括的民間委託の導入を検討し、管理コストの縮減や持続可能な下水道経営状況の向上に努めていくことが課題となっています。
 「包括的民間委託」の基本的な要素は、@性能発注方式であること、A複数年契約であることです。また、地方公共団体が委託できる事務は、下水処理場等の運転、保守点検等の事実行為で、公権力の行使に係る事務等は対象外です。性能発注レベルと、性能発注の導入によるコスト縮減イメージは次のとおりです。

(出典:下水道における民間活用の状況 国土交通省HP)


【下水道事業における官民連携事業の実施状況】

(出典:国土交通省HP(「下水道事業における公共施設等運営事業等の
実施に関するガイドライン(案)改正検討会」資料))


業務実施のメリットや効果

包括化によるコスト縮減と事業者管理の効率化
民間技術を利用した創意工夫によるサービスレベルの向上
維持管理データを含めた情報の一括管理

 OECでは、これまでに数多くの下水処理場の設計や機能診断・処理方法の検討、管路施設の設計及び再構築・維持管理計画を立案し、経験を積み上げてきました。これらの実績と維持管理業者とのネットワークを活用し、各下水道事業者の皆様の事業運営状況、規模や地域特性等を考慮した上で、包括的民間委託の導入の可能性を検討します。包括的民間委託は自治体側にとっては経費削減効果に結び付くが、業務の範囲を明確に定めない性能発注となるため、特に処理施設の委託の場合、民間事業者側にとっては、事業リスクが拡大することが考えられます。検討に当たっては、下水道事業者と民間委託業者との役割分担、情報伝達のしくみ、苦情発生時や災害時対応を含めた対策など、官民間の適正なリスクシェアリングも想定して包括民間委託の導入を提案します。



6.PFIの導入検討業務

概要
 PFIとは、公共施設等の整備等に関する事業(公共事業)を実施するための手法の一つで、民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・運営を行うものです。公共事業をPFI事業として実施するかどうかについては、PFI事業として実施することにより、当該事業が効率的かつ効果的に実施できることを基準とします。PFI事業として実施することが公共部門が自ら実施する場合に比べてVFMがある場合、効率的かつ効果的に実施できるという当該基準を満たします。したがって、PFI事業としての実施を検討するに当たっては、VFM(Value For Money)の有無を評価することが基本となります。平成11年にPFI法が施行され、事業実施数は平成21年度末で366に上ります。公共下水道分野では、消化ガス発電事業や汚泥燃料化事業等6事業の実施例があります。

【「VFM」とは】
 一般に、「支払に対して最も価値の高いサービスを供給する」という考え方です。同一の目的を有する2つの事業を比較する場合、支払に対して価値の高いサービスを供給する方を他に対し「VFMがある」といい、残りの一方を他に対し「VFMがない」といいます。VFMの評価手順は次のとおりです。

VFM評価

(出典:PFI事業導入の手引き 内閣府 民間資金等活用事業推進室(PFI推進室))


PFI導入可能性調査を実施する場合の流れは次のとおりです。

(出典:PFI事業導入の手引き 内閣府 民間資金等活用事業推進室(PFI推進室))


【従来の公共事業とPFIの違いについて】
 施設をつくり維持管理・運営を行う場合に、従来の公共事業では設計、建設、維持管理、運営という各業務を分割し、年度ごとに発注していました。一方、PFIでは設計、建設、維持管理、運営の全ての業務を長期の契約として一括してゆだねます。さらに、PFIでは従来のように細かな仕様を定めるのではなく、性能発注といって“性能を満たしていれば細かな手法は問わない”発注方式により業務をゆだねます。この違いによって民間のノウハウが発揮され、PFIのメリットが発生します。

従来の公共事業

従来の公共事業

事業の実施に必要な資金は補助金、起債、独自財源から調達します


PFI

SPC

 SPCは、事業の収益力を担保に融資を受けるプロジェクト・ファイナンスという方法で、建設資金等の一部を金融機関から借り入れて事業を行います。地方公共団体は、建設資金、維持管理費用等をSPCが提供するサービスの対価として、SPCへ払います。 地方公共団体と金融機関はPFI事業が円滑に遂行されるよう直接協定(ダイレクトアグリーメント)を締結します。

(出典:PFI事業導入の手引き 内閣府 民間資金等活用事業推進室(PFI推進室))


業務実施のメリットや効果

PFI導入可能性を総合的に判定できます。
ライフサイクルコストの最小化が図れる事業手法を選択できます。

PFI導入後のメリット

住民に対して、安くて質の良い公共サービスが提供されます
公共サービスの提供における行政の関わり方が改善されます
民間の事業機会を新たに創り、経済の活性化に貢献できます

 OECでは、PFIの導入にあたり、一定の要件を満たす必要がありVFMの観点から導入可能性の検討・評価を行います。また、民間活用の事業手法、事業の範囲・期間、公共負担額削減の可能性、市民サービス向上の実現性、民間事業者の事業参画の見込み、公共と民間の役割およびリスク分担、法制度上等の課題などについて調査・検討し、その結果に基づきVFMの算定を行います。PFI導入可能性の評価にあたっては、定量的な評価だけでなくメリット・デメリットも含めた定性的な評価を加え総合的な判断を行い、事業の実施につながる検討を行います。


計画的な改築の推進

1.下水道事業再評価業務

概要
 下水道事業をはじめとする公共事業の実施に当たっては、従前にも増して効率的・効果的な事業の執行、その過程における透明性・客観性の確保、事業主体等による説明責任が厳しく求められています。
 こうした背景より、下水道事業における事業評価制度は、公共下水道事業全体の事業評価制度の一環として平成10年度より導入されたものです。


【再評価の概要】
 
再評価の概要


業務実施のメリットや効果

効率的・効果的な事業の執行
事業実施過程の透明性・客観性の確保効率的
事業主体等による説明責任(アカウンタビリティー)の明確化

 本業務では、これまでの事業と今後の事業について、@事業の進捗状況に関する指標、A事業をめぐる社会情勢等の変化に関する指標、B費用効果分析(B/C)、Cコスト縮減や代替案等の可能性に関する検討を行います。



2.下水施設腐食対策の検討業務(管渠・ポンプ場・処理場)

概要
 下水中に含まれる硫酸塩還元細菌により生成される硫化水素ガスが、結露中での好気性の硫黄酸化細菌により硫酸を発生する事により、コンクリート構造物の腐食が起こる。下水道施設の腐食程度が異なるのは、硫酸を生成する硫黄酸化細菌の繁殖状況が各環境条件によりことなることから、違いが生じている。
 この流下水素による腐食対策としては、硫化水素そのものを発生抑制する「発生源対策」と、発生した硫化水素から施設を守る「防食対策」がある。「発生源対策」としては、空気注入、過酸化水素、塩化第二鉄及びポリ塩化第二鉄を添加する事により、硫化水素の発生を抑制する。また、「防食対策」としては、コンクリートや金属を硫酸等の腐食環境条件から遮断する手法として防食被覆がある。コンクリートの防食被覆工法としては、塗布型ライニング工法とシート型ライニング工法がある。


業務実施のメリットや効果

コンクリート構造物、金属類の腐食対策による延命化
硫化水素発生の抑制による臭気対策

 本業務では、主に下水道構造物における、硫化水素に起因したコンクリート腐食に対し、その劣化調査・診断に基づく改善対策の検討を行います。また、必要に応じて、下水道長寿命化計画との連携により、調査結果のデータベース化やシステム構築の検討を行います。

 管渠とポンプ場、処理場の各施設に対して、下水道施設における腐食対策は異なってくる。
 豊富な下水道施設の設計経験を生かして、各施設における「発生源対策」と「防食対策」提案を行う。

   例えば、管渠施設に対する施設腐食対策として、新設管路に計画する施設であれば段差、落差を極力抑えた縦断計画を行うと共に、発生が予想される部位に関しては、耐酸性の材質を採用する事を提案する。また、既存の施設に関しては、防食被覆を行って「防食対策」を行うと共に、ポンプ場やマンホールポンプ施設において空気注入、過酸化水素、塩化第二鉄及びポリ塩化第二鉄を添加する等の「発生源対策」を提案する。
  ポンプ場、処理場の施設に対しては、硫化水素が発生し易い下水、汚泥の滞留箇所を最低減に抑えた施設形状を心がけた提案を基本とし、既存施設の対策としては、防食被覆を計画する際には必要に応じて現地調査による硫化水素濃度の測定や、腐食状況を確認する為の中性化試験の実施を提案して、実際の環境条件に合致した具体的な対策を図り下水道施設の延命化に努める。
   また、これらに計画には、単に腐食対策を提案するのではなく、施設の耐震化や設備再構築を視野に入れた総合的な整備計画を視野に入れてより良い提案を行う。



3.管路の不明水対策業務

概要
 下水道施設には本来の下水(有収水)以外に、一般的に不明水と言われる浸入水が主として管路施設から流入します。不明水には料金の徴収できない有収外汚水と浸入水があります。この浸入水は、晴天時に流入する「常時浸入水」と、分流式下水道の雨天時に流入する「雨天時浸入水」の2種類があります。不明水の発生により下水処理運転経費や維持管理費が増大し、下水道経営におけるリスク管理や寿命管理に重要な改善事項となります。


業務実施のメリットや効果

有収率が向上し、下水道経営収支が改善される。
雨天時増水による溢水、施設の冠水、処理場・ポンプ場の過負荷等を防止するリスク管理となる。
土砂を引き込む浸入水をなくすことにより、下水道施設の長寿命化につながる。

 管路施設の不明水調査の手順としては、資料収集、調査方法の検討、基本調査、調査結果の傾向分析、主な原因の特定、詳細調査の計画策定、詳細調査、調査結果のまとめ、対策方法の検討、等があり、費用効果分析に基づいた具体的な対策計画と実施方法を立案します。
 有収水量と処理水量の比較を行い、下水道処理に係る経費削減という目標設定を達成できるようお客様のお手伝いをさせていただきます。
   また、雨天時浸入水対策として、流入下水量データと雨量データを用いて解析によって浸入水の多い区域を絞り込むことのできる「事例ベースモデリング技術」を用いることも可能であり、対象区域が広い範囲では有効な技術です。




4.下水処理施設へのし尿投入評価検討業務

概要
 全国の多くのし尿処理施設の老朽化が進んでおり、各管理者において既存施設の改築・更新・廃止などが検討されている。下水道施設へのし尿投入は、昭和47年に「終末処理場におけるくみ取りし尿の処理について」(厚生省環整発第38号、建設省都市下事発第32号)の通達や平成7年度に創設された、採択条件が満たされれば下水道事業として整備できる「汚水処理施設共同整備事業(MICS)」などの制度設計により、事業の着手を検討する自治体が増加しています。


業務実施のメリットや効果

下水道で一括処理することで、経済性の向上、効率的な運営が可能です。
老朽化した既存し尿処理場の対応が不要になります。
住民に対し、合理的な説明をすることから理解が得られ易くなります。

 本業務では、下水処理場へのし尿投入(生し尿、浄化槽汚泥)に対し、投資効果、運営方法、環境対策(省エネ・創エネ)を加味した効果的な対策を立案します。合わせて、年々割合が多くなる浄化槽汚泥について、最適な投入方式の提案をおこない受け入れ側の下水処理場での運転・維持管理上の課題を抽出し、それらの対策案を立案します。


【し尿下水道投入施設計画の例】
 
し尿下水道投入施設計画の例


【し尿投入施設の例(写真)】


し尿投入施設の例(内部)


し尿投入施設の例(外部)


 

【し尿受入れの終末処理場】

し尿受入れの終末処理場



5.下水道長寿命化計画の策定(管渠・ポンプ場・処理場)

概要
 下水中に含まれる硫酸塩還元細菌により生成される硫化水素ガスが、結露中での好気性の硫黄酸化細菌により硫酸を発生する事により、コンクリート構造物の腐食が起こる。下水道施設の腐食程度が異なるのは、硫酸を生成する硫黄酸化細菌の繁殖状況が各環境条件によりことなることから、違いが生じている。
 この流下水素による腐食対策としては、硫化水素そのものを発生抑制する「発生源対策」と、発生した硫化水素から施設を守る「防食対策」がある。「発生源対策」としては、空気注入、過酸化水素、塩化第二鉄及びポリ塩化第二鉄を添加する事により、硫化水素の発生を抑制する。また、「防食対策」としては、コンクリートや金属を硫酸等の腐食環境条件から遮断する手法として防食被覆がある。コンクリートの防食被覆工法としては、塗布型ライニング工法とシート型ライニング工法がある。


業務実施のメリットや効果

コンクリート構造物、金属類の腐食対策による延命化
硫化水素発生の抑制による臭気対策

 本業務では、主に下水道構造物における、硫化水素に起因したコンクリート腐食に対し、その劣化調査・診断に基づく改善対策の検討を行います。また、必要に応じて、下水道長寿命化計画との連携により、調査結果のデータベース化やシステム構築の検討を行います。
 管渠とポンプ場、処理場の各施設に対して、下水道施設における腐食対策は異なってくる。豊富な下水道施設の設計経験を生かして、各施設における「発生源対策」と「防食対策」提案を行う。
  例えば、管渠施設に対する施設腐食対策として、新設管路に計画する施設であれば段差、落差を極力抑えた縦断計画を行うと共に、発生が予想される部位に関しては、耐酸性の材質を採用する事を提案する。また、既存の施設に関しては、防食被覆を行って「防食対策」を行うと共に、ポンプ場やマンホールポンプ施設において空気注入、過酸化水素、塩化第二鉄及びポリ塩化第二鉄を添加する等の「発生源対策」を提案する。
 ポンプ場、処理場の施設に対しては、硫化水素が発生し易い下水、汚泥の滞留箇所を最低減に抑えた施設形状を心がけた提案を基本とし、既存施設の対策としては、防食被覆を計画する際には必要に応じて現地調査による硫化水素濃度の測定や、腐食状況を確認する為の中性化試験の実施を提案して、実際の環境条件に合致した具体的な対策を図り下水道施設の延命化に努める。
  また、これらに計画には、単に腐食対策を提案するのではなく、施設の耐震化や設備再構築を視野に入れた総合的な整備計画を視野に入れてより良い提案を行う。


【スパン全体の評価による対策工法の決定フロー】


スパン全体の評価による対策工法の決定フロー

 ※1)健全度2(重度)の場合、基本的に部分対策の「修繕」が該当する。但し、@管の腐食 A上下方向のたるみについては、aランク程度の異常が発生していれば、スパン全体での劣化原因(@管の腐食:硫化水素、A上下方向のたるみ:不等沈下等)が発生し、スパン内の他の管きょにも常時影響を与えていると考える。よって、「改築」が必要と判断する。


 

アセットマネジメント

1.下水道アセットマネジメントシステムの構築支援業務

概要
 水道事業、工業用水道事業、簡易水道事業などの公営企業と同様に、公共下水道事業も普及促進の時代から事業運営の時代に入り健全な経営が求められています。これらの公営企業の健全な経営を行うためには、整備したストックの今後の更新需要や維持管理の費用予測、事業を実施に必要な適切な資金計画が求められます。これらに対処するために、国土交通省では、平成23年9月には、「下水道施設のストックマネジメント手法に関する手引き」が発刊し、将来のアセットマネジメント導入を促進する動きが加速しています。


業務実施のメリットや効果

事故・不具合の未然防止(リスクの把握):施設の状態を把握して、適切な処置を施すことが可能となります。
効率的な下水道運営:施設の状態や維持管理情報を蓄積し、共有化することにより、より効率的な管理が可能となります。
適切な財政計画:改築更新需要を把握し、適正な下水道料金の設定を含めた中長期的な視点での財政計画を作成することが可能となります。
住民等へのアカウンタービリティの向上:施設管理が適正かつ合理的に行われていることを、住民等にわかりやすく説明することが可能となる。

 OECでは、国が推奨するストックマネジメント構築、アセットマネジメントに対応したデータベース構築及び財政計画を含めたアセットマネジメント支援に対応したサービスを提供します。また、OECでは、将来のアセットマネジメントの本格導入を見据え、地方公営企業法の適用を受けていない下水道事業管理者の皆様に、法適用を受けることをお奨めしております。アセットマネジメントの構築と地方公営企業法適用とは密接に関連しており、双方の業務実績の豊富なOECが、きめ細かいサービスによりお客様のニーズにお応えします。


地震対策の推進

1.下水道総合地震対策計画の策定業務

概要
 平成23年の東日本大震災をはじめ、全国各地で大規模地震が発生し下水道施設に甚大な被害をもたらしているが、下水道施設の耐震化は十分進んでいません。「下水道総合地震対策事業」は、国土交通省により平成21年度に創設され、平成25年度までの5年間以内にDID地域を有する都市等において「下水道総合地震対策計画」を策定し、下水道の地震対策を重点的に推進する事業です。これにより、要援護者関連施設が存在する排水区域の貯留・排水施設等の耐震化事業やマンホールトイレシステム、備蓄倉庫及び耐震貯水槽などの設置の促進が期待されています。

下水道総合地震対策計画の一般的な計画策定フローは以下のとおりです。

下水道総合地震対策計画策定フロー

(出典:下水道地震対策緊急整備計画策定の手引き(案))平成18年4月 国土交通省都市・
地域整備局下水道部/社団法人日本下水道協会をもとに作成


業務実施のメリットや効果

大規模地震時にも下水道が有すべき機能の必要性や緊急性に応じた段階的な耐震対策が示され、計画的かつ円滑な事業の推進が可能となります。
被災時における住民の安心と安全な生活の確保を念頭に置き、被害を最小化する防災対策と、被災後の速やかな復旧等に寄与する減災対策を組み合わせた危機管理の実施が可能になります。
恒久的なハード整備においては、合流改善対策や浸水対策、施設の改築・更新等の関連計画を考慮した事業の効率化・事業費の平準化を図ることが可能となります。

 OECでは、 防災対策(施設の耐震化)と減災対策(応急復旧用資機材の備蓄、マンホールトイレ等) を盛り込んだ計画の策定を行います。
 
本業務では、主に以下の事項について検討・策定を行います。
 1. 対象地区の概要(地理的状況、下水道施設の配置状況)
 2. 対象地区の選定理由
 3. 計画目標(対象地震動、付与する耐震性能)
 4. 計画期間
 5. 防災対策の概要
 6. 減災対策の概要
 7. 計画の実施効果(被害低減額、耐震化率等)


下水道の地震対策



2.下水施設(管渠・ポンプ場・処理場)の耐震診断業務

概要
 下水道施設は、いかなる場合も下水を適切に排除・処理する役目を担う重要なライフラインです。地震災害による機能マヒは被災地域の住民生活への直接的影響のほか、水道水源の汚染や伝染病の発生、雨水排除不能などにより、衛生環境の悪化、社会経済活動の停止や混乱などその影響は計りしれません。このため、現在の耐震要求を満たさない下水道施設(土木:H10年以前に建設、建築:H8年重要度係数、H19年建築基準法改正以前に建設)については、早急に耐震診断を実施することが求められています。


業務実施のメリットや効果

施設の倒壊防止や外壁落下防止等による人命確保と二次災害の防止
機能確保による良好な衛生環境の維持
最重要道路下の布設管路の耐震化による交通機能の確保

 本業務では、主に土木・建築構造物に対して現地での破壊・非破壊試験に基づき、規定の耐震基準を満たしているかの診断判定を行います。また、長寿命化調査(機械・電気設備)と併せて行うと、LCC評価を含めた効果的な対策が選定可能になります。


【耐震診断フロー図】
鉄筋コンクリート造の場合

耐震診断フロー



3.下水道危機管理マニュアルの作成業務

概要
 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、私達一人一人が危機の発生時においてどのように対応をしていくか、また事前における準備の重要性と必要性を改めて認識させる出来事でした。下水道はその機能が停止した場合、浸水被害の発生、環境汚染、伝染病の発生、炊事、洗濯、トイレの利用制限など、地域社会に甚大な影響を及ぼすことになります。起こり得るリスクについて、事前準備、体制、対応の基本方針等を定めることにより、危機事象の発生を未然防止、または発生した場合に被害を最小化するため実施する危機管理の基本的対応を事前に検討・整理することが必要です。


業務実施のメリットや効果

起こり得る危機への適切な対応による組織運営の安定化
危機発生によってもたらされる影響(被害、社会的損失)の最小化
研修・訓練実施による危機管理意識の高揚

 本業務では、下水道事業運営において想定される各種リスク、具体的には自然災害系(風水害・地震など)や人為災害系(事故・事件・テロなど)に対し、リスク評価とリスク対策に対し検討を行いマニュアルとして作成します。
 OECでは、下水道事業管理者の皆様と協議の上、想定リスクを明確にした上で、それらに対し平常時、危機発生時と状況に応じた対応方針、対応目標、対応体制等の確立に向けた作成を支援します。また、作成したマニュアルが各事業体の実情に沿ったものとしてゆくため、策定後においてもPDCAサイクルを継続的に回すこと重要であり、そのポイントについてもアドバイス致します。

【危機管理マニュアルと個別マニュアルとの関係イメージ図】
 
危機管理マニュアルと個別マニュアルとの関係イメージ図

(出典:下水道危機管理マニュアル作成の手引き 平成19年6月 社団法人 日本下水道協会)


 

【危機管理体制のフロー(見本)】
 
危機管理体制のフロー(見本)


 

4.下水道BCP(地震対策)策定業務

概要
 大規模地震等により下水道がその機能を果たすことができなくなった場合には、トイレが使用できないなど住民生活に大きな影響を与えるとともに、汚水の滞留や未処理下水の流出による公衆衛生被害の発生や雨水排除機能の喪失による浸水被害等の二次災害の発生など、住民の生命・財産に係わる重大な事態を生じる恐れがあります。このような事態を回避し、住民生活等を確保する視点から、被災時においても下水道が担うべき機能を維持していく必要があります。BCP:業務継続計画(Business Continuity Plan)


業務実施のメリットや効果

資源の制約を考慮した下水道BCPの策定により、従来よりも速やかにかつ高いレベルで下水道機能を維持・回復することが可能になります。
PDCAサイクルにより、継続して下水道BCPを改善していき、防災対応力を向上させることが可能になります。

 本業務では、@震後に優先すべき重要業務(点検・調査、応急復旧等)の抽出及び目標時間の設定、A重要業務に必要な資源(人員・資機材等)の把握の分析から、B事前対策の検討を行い、C行動計画の立案(初動行動計画・機能回復のための行動計画)を行います。また、必要に応じて、下水道の危機管理マニュアルの整備状況の精査を行います。


【下水道BCPの計画策定フロー】
 
下水道BCPの計画策定フロー


【下水道BCPにおける復旧の扱い】
 
下水道BCPにおける復旧の扱い
                           (出典:国土交通省)


【下水道BCPと地域防災計画との関係】
 
下水道BCP
                         (出典:国土交通省)


浸水被害の軽減

1.下水道総合浸水対策計画の策定業務(従来の「雨水の流出抑制(貯留・浸透)計画」を含む)

概要
 近年、集中豪雨の多発や都市化の進展に伴い、短時間に大量の雨水が流出し、内水氾濫の被害が増大しています。また今後、気候変動により、大雨の頻度増加、台風の激化の懸念が指摘されています。この業務では、近年の集中豪雨に対応するとともに、安全で安心な社会を形成し、今後の方向性を示すことを目的としています。


業務実施のメリットや効果

浸水シミュレーションを活用することで対策前後の浸水状況を高い精度で把握します。
浸水範囲、浸水深、浸水道路延長、床上浸水戸数、個人財産被害額、都市資産被害額等の低減効果を示します。

 本業務では、集中豪雨による浸水被害に対して、緊急かつ効率的に浸水被害を最小化することを目標とするため、浸水シミュレーションを積極的に活用し、多様な主体の連携により公助・自助による対策を総合的に組合せて、ハード対策とソフト対策を盛り込んだ計画の策定を行います。


総合浸水対策





2.内水ハザードマップの作成業務

概要
 近年、集中豪雨の多発や都市化の進展に伴い、短時間に大量の雨水が流出し、内水氾濫の被害リスクが増大しています。また、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書統合報告書(平成19 年11 月)においては、今後、気候変動により、大雨の頻度増加、台風の激化の懸念が指摘されています。国土交通省では、平成21年度に創設された「下水道浸水被害軽減総合事業」において、一定規模の浸水実績がある浸水対策に取り組む必要性が高い地区(全国で557市区町村)に対して、5年以内に「下水道浸水被害軽減総合計画」の作成及び内水ハザードマップの作成・公表等による浸水対策を推進しています。


業務実施のメリットや効果

住民に解り易く情報を提供する事で洪水による人的・物的被害の軽減を図ることができる
河川氾濫が主因となる外水型洪水被害とは異なる内水型の浸水状況把握が可能となる
継続的に情報を蓄積する事で各種災害対策との連携がより緻密なものとなる

内水ハザードマップとの連携

 OECでは、地域の実情に合わせた様々な手法により内水ハザードマップを作成します。対象となる地域の実情、入手できるデータの質・量に応じて、@浸水シミュレーションによる手法、A地形情報を活用した手法、B浸水実績を活用した手法、の中から地理的特性や浸水特性に応じて最適な手法を用いて内水浸水想定手法を選定します。「浸水シミュレーションによる手法」では、流出解析モデルInfo Works -CSやOECの開発した「リアル浸水シミュレーションシステム」により、ハザードマップの作成だけでなく下水道浸水被害軽減総合計画の策定における浸水対策の立案も行います。また、現地踏査や過去の浸水被害の聞き取り調査、シミュレーションによる浸水被害発生時の再現結果の検証によるシミュレーション結果の精度向上作業により、精度の高い内水ハザードマップを作成致します。


 

【下水道浸水被害軽減総合計画事業の補助対象範囲】
下水道浸水被害軽減総合計画事業の補助対象範囲

(出典:国土交通省)


資源・エネルギー循環の形成

1.汚水処理施設共同整備事業(MICS)計画の策定業務

概要
 公共下水道、農業集落排水事業、合併浄化槽事業などの汚水処理施設には共通する処理工程があり、共同で利用する方が効率的になる場合があります。このような場合、一定の採択条件に該当すれば共同で利用できる施設を下水道事業により整備できる制度として、「汚水処理施設共同整備事業(MICS)」が平成7年度から実施されています。


業務実施のメリットや効果

施設の共同化・集約化により、地域全体の汚水処理の最適化が図られ、既存施設の有効活用などと合わせて、地域のニーズに適した効率的・効果的な施設整備と運用が期待されます。

 OECでは、最もコストのかからない方法で整備するため、地域ごとに集合処理(下水道、農業集落排水)と個別処理(浄化槽)の経済比較を行い、各地域で最もコストのかからない整備方法を選択することを基本方針として作業を行います。また、各汚水処理施設で共通した処理工程に対し、共有化(移動式汚泥処理・汚泥運搬施設・共同汚泥処理処分施設)と共同化(水質検査施設)を念頭に、効率的な施設整備と維持管理性を向上させるための計画立案、施設設計を行います。

汚水処理施設の整備イメージ

(出典:国土交通省)



2.バイオマス(バイオソリッド)利活用計画の策定業務

概要
 バイオマス資源とは、動植物に由来する有機物(化石燃料を除く)であり、エネルギーの他、化学原料や製品としても有用な資源である。下水処理の過程で発生する下水汚泥はバイオマス資源の一種であり、下水汚泥や他のバイオマスと合わせた有効利用や減量化を持続的に促進することが、地球温暖化の防止や循環型社会の構築の観点から重要となっています。


業務実施のメリットや効果

消化及び熱分解の加工工程で発生したメタンガス活用した下水処理施設内での化石燃料、使用電力量低減によるCO2排出量の削減、都市ガス、自動車燃料や燃料電池としての利用
汚泥処理の過程で生成された乾燥汚泥、炭化汚泥を活用した燃料利用
焼却炉の廃熱を利用した中水温エネルギーの地域冷暖房利用
バイオマスの共同処理による処理・処分コストの削減
既設の下水道の水処理プロセスの活用により、施設の増設を行わずにバイオマスの共同処理に伴い発生する廃水処理が可能
下水中に多く含まれるリン酸カルシウム、脱水汚泥、乾燥汚泥、コンポスト、炭化汚泥などの緑農地利用
脱水汚泥、炭化汚泥、焼却灰、焼成物、溶融スラグなどのセメント原料、路盤材などの建築資材利用
循環型社会の形成:廃棄物の排出を抑制、資源の有効活用
廃棄物最終処分場の利用可能年数の延伸

 OECでは、地球温暖化の防止、循環型社会の形成促進の観点から、下水汚泥と生ゴミ・剪定枝材・畜産ふん尿等の他のバイオマスと併用混合物である「バイオソリッド」をエネルギー利用、緑農地利用、建築資材利用に対応するための各種調査や、変換技術、変換生産量、変換コストなどの検討を行い利活用計画の作成を行います。また、下水処理施設や廃棄物処理施設の運転・維持管理費の総コストの削減に向け、バイオマスの広域・共同処理の設定も視野に入れた、下水汚泥以外のバイオマス関連施設の統廃合の計画・設計も行います。


【業務フロー図】


業務フロー図

(出典:国土交通省)


【事例紹介】

下水道資源化工場(栃木県)

 県と15市町村の共同事業として下水汚泥を焼却・溶融・スラグ化し建設資材として有効利用されています。

 ・年間溶融スラグ:約30,000 t
 ・焼却施設    :流動床式汚泥焼却炉 90 t/日×1炉
 ・灰溶融施設   :旋回流式溶融炉  12 t/日×1炉
 ・供用開始    :平成 14年 10月


下水スラッジセンター(神奈川県川崎市)

 4箇所の水処理センターからパイプライン集約した汚泥を、遠心濃縮、ベルトプレス脱水し、流動焼却炉による焼却を行っています。処理工程から発生する余熱エネルギーは、近接の市民温水プールの熱源や、施設の冷暖房、給湯等の熱源に有効利用しています。
 
 ・供用開始  :平成 7年 11月



3.下水・下水汚泥からのリン回収検討業務

概要
 わが国は貴重資源であるリンを全量輸入に頼っていますが、世界的なリン需給のひっ迫等を背景に国内の肥料価格が増大していることから、下水や下水汚泥からのリンの回収・活用が求められています。
 下水道にはリン鉱石として輸入されるリンの約4〜5割に相当するリンが流入しているとの推計がありますが,有効利用されている割合は約1割に過ぎません。下水処理場に集約されてくるリンは貴重な未利用資源であり,今後,下水や下水汚泥からリンを効果的に回収・利用することが求められています。


業務実施のメリットや効果
@ リン資源の有効利用
A 水処理施設及び汚泥処理設備でのリン負荷の低減


 OECでは、下水や下水汚泥に含まれるリンを回収するために、@下水処理場の特性の把握並びにリンの賦存形態と量の推定、Aリン回収・資源化技術の選定、B費用効果分析等の検討を行います。下水及び処理水質、汚泥成分等からリンの賦存形態と量を把握し、下水処理場の処理方式、汚泥処理方式等の処理場の特性を踏まえて適用可能なリン回収技術を検討します。回収したリンの性状・量からどのような用途に利用可能であるか農業関係者等の需要者側の動向を考慮して、経済性や事業性の検討を行います。なお、事前に、「バイオマス(バイオソリッド)利活用計画」が策定されている場合は更に効果的な検討が可能です。

【リン資源化検討フロー】
 
リン資源化検討フロー

(出典:下水道におけるリン資源化の手引き 平成22 年3月 国土交通省都市・地域整備局下水道部)



4.省エネ・創エネ技術の導入検討

概要
 温室効果ガス削減対策は国の重点課題の一つであり、平成19年度末に閣議協定された京都議定書目標達成計画において、下水道における省エネルギー・新エネルギー対策の推進による温室効果ガス削減が追加対策として盛り込まれています。下水道事業者は、管理する施設において、この目標の実現に向けて、地球温暖化対策に貢献することが求められています。なお、「創エネ」とは下水道で用いられている用語で、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「新エネ」に相当します。


業務実施のメリットや効果

省エネ・創エネ技術の導入により、下水道としての地球温暖化対策に貢献することができる。
未利用エネルギーの利用の可能性について検討した事業計画を作成できる。

 未利用エネルギー技術は、技術毎に特徴があり、特定の条件では極めて効率的に導入目的を達成することが可能な場合もあります。導入検討の際には、将来ビジョン等の検討結果を整理し、目的に合致した未エネルギー技術を導入することが望ましいです。


 

未利用エネルギーの導入目的と各技術の適合(案)

目 的

太陽光

太陽熱

風 力

バイオマス

温度差

雪氷熱

水 力

地 熱

未使用エネルギー利用

エネルギー消費原単位削減

※4

CO2排出量削減

※4

余白地施設の有効利用

※5

※5

※5

※5

※5

エコロジーのシンボルPR効果

※4

電力費の削減

※3

※3

※3

(契約電力の削減)

×※1

×※1

×※1

※2

×※1

◎:適合 ○:適合するが効果がやや小さい △:条件により適合 ×:不適合

備考

※1:  発電において年間変動があり、契約電力の削減が出来ない場合がある。
※2:  発電においてやや年間変動があり、契約電力の削減が出来ない可能性がある。
※3:  直接電力として発電する技術より、熱交換が必要な技術は電力費削減効果が劣る。
※4:  冷房や冷温貯蔵など、使用する用途が限定される。
※5:  設置する場所が限定されたり、施設の改造などが伴うなど。

 未利用エネルギーの適用項目の選定に際して、@発生した電力、熱、温水等の有効利用 A地域性(日照量)、設置可能スペースによる設置の可否 B導入実績などを考慮して導入判定を行います。


 

新エネルギーシステムの導入判定項目の例(下水処理場への設置検討)

 

@太陽光発電

A太陽熱利用

B風力発電

Cバイオマス

D温度差エネルギー

E小水力発電

補助要件

10kw以上

集熱面積
100m2以上

500kw以上

コージェネ10kw以上

628GJ/h以上

下水200kwh/日以上

環境条件

発電可能な日照量があるか

熱利用が可能な日照量が得られる地域か

発電に必要な安定した風速が得られるか

消火設備設置によりガス発電利用等可能

処理水の温度差利用により必要なエネルギーが得られるか

発電に必要な有効落差、流量があるか

設置場所条件

処理施設の上部等に設置が可能か

熱利用が可能な地域か

設置スペースの確保が可能か

設置スペースの確保が可能か

ヒートポンプの設置が可能か

放流渠において必要な落差、設置スペースが確保できるか

エネルギーの利用用途

発電利用

給湯、暖房等の利用

発電利用

ガス発電による発電利用、消化ガスの消化槽加温利用等

冷暖房等への利用

発電利用


 OECでは、主にエネルギー自立型処理場を目指し、省エネ技術(機械設備の運転効率向上)と創エネ技術(太陽光発電・風力発電・バイオマス・温度差エネルギー利用・小水力発電)を選定するとともに、費用対効果を考慮した上で導入可能性検討を行います。


【事例紹介】

創エネ施設(神奈川県川崎市)

 処理場内の水路落差を利用した小水力発電です。新世代下水道支援事業・リサイクル推進事業未利用エネルギー活用型の「小水力発電」の第1号として認定されました。

・方式・形式  :横軸円筒可動羽根プロペラ水車
・ケーシング入口径:φ1350m/m(ランナ径:φ760m/m)
・有効落差   :1.4 m
・流  量    :約1.4 m3/s
・水車出力   :14 kW
・年間発電量  :約10万kWh/年
・供用開始   :平成23年6月


下水道の資源活用



5.バイオガス利活用計画の策定業務

概要
 「バイオガス」とは生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、エネルギー作物などの「発酵・嫌気性消化」により発生するガスのことです。一般の生ごみや下水の汚水を処理する過程で発生する「有機性廃棄物」を嫌気性消化処理する過程で、廃棄物は「分別」→「調整」→「消化(嫌気性消化処理)」されます。この「消化」の過程で発生するガスを「消化ガス」と呼び、その主成分は「メタン(CH4)」及び「二酸化炭素(CO2)」で、メタン6割、二酸化炭素4割程度です。微量の硫化水素(H2S)なども含んでいます。メタンガスは可燃性ガスであり、エネルギー源としての利用が可能です。現在、バイオガス発電は東京都、横浜市、沖縄県の他、全国の20以上の自治体で導入されています。


業務実施のメリットや効果

地球温暖化対策
生ごみや下水汚泥などの有機性廃棄物(バイオマス資源)を利用した燃料とした発電は、「京都議定書」における取扱上、CO2を排出しないものとされています。
循環型社会の構築
未活用の有機性廃棄物を燃料とするバイオガス発電は、廃棄物の再利用や減少につながり、循環型社会構築に大きく寄与します。

 

【下水汚泥からガス発電するまでのフローの例】

バイオガスの利用用途の比較


 

 バイオガスの利用用途として、ガス発電、焼却炉補助燃料、都市ガス供給、天然ガス車燃料、燃料電池などがあります。OECでは、生ごみ(家庭系・事業系)と下水汚泥を既設の下水処理場で混合処理が可能なバイオガス施設を建設するための基本構想・利活用計画の策定、関連施設の基本設計・詳細設計までを行います。


【事例紹介】

下水汚泥と生ごみによるガス発電

・総バイオマス量:下水処理場1カ所
    (現有規模 約5万m3/日)
     +家庭系生ごみ(約16万人分)
     +事業系生ごみ
・消化ガス発生量:約9,000 Nm3/日
・消化ガス熱量  :約7万GJ/年
・発電機容量   :760 kW
・年間発電量   :約560万kWh/年
・排熱利用可能量:約8 MJ/日
     (内、加温熱量:約4MJ/日)


バイオマス発電(茨城県日立市)

 有機物を直接燃焼させる方法、熱分解や酸化によってガス化を行う熱化学的な方法、微生物や酵素を利用してメタンガスやエタノールを製造する生物化学的な方法などがあります。バイオマスエネルギーは、熱・電気・燃料として多用途に利用することができます。
 
・総バイオマス量:下水処理場1カ所
     (現有規模 約7.4万m3/日)
・消化ガス発生量:約2,100 Nm3/日
・発電機容量   :600 kW
・年間発電量   :約230万kWh/年
・排熱利用可能量:約6 MJ/日
・供用開始予定  :平成 24年 12月



6.エネルギー管理計画の策定業務

概要
 「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)に基づき、下水道施設も「エネルギー管理指定工場」に指定され、下水道事業者においても省エネルギー対策が求められています。平成21年4月1日の省エネ法の改正により(平成22年度施行)、事業者単位のエネルギー管理が義務付けられており、一定規模以上の浄水場・下水処理場はエネルギー管理指定工場に該当しています。下水道施設における省エネ対策では、施設機能、システムバランス、運転改善などを把握した上で省エネ型機器の導入を検討し、施設全体でのエネルギー収支の改善がポイントになります。


省エネ法改正のポイント
 事業者全体のエネルギー使用量(原油換算値)が1,500kL/年以上の事業者は、特定事業所の指定を受け、省エネ法に基づくエネルギー管理が義務付けられることになります。事業者全体のエネルギー使用量が1,500kL/年未満の場合、特定事業者に係る義務(定期報告書、中長期計画書の提出等)は適用されませんが、エネルギーを使用する者は、特定事業者か否かに関わらず、エネルギー使用の合理化に努めていく必要があります。(省エネ法第四条)

省エネ法改正の
ポイント

改正前(平成21年度まで)

改正後(平成22年度から)

事業者全体

特定事業者(または特定連鎖化事業者)が設置する工場単位

指定基準の改定

工場・事業場単位の年間に使用するエネルギー量(原油換算値)より
3,000kL以上/年:第一種エネルギー管理指定工場
1,500kL以上/年:第二種エネルギー管理指定工場

企業単位の年間使用エネルギー(原油換算値)が1,500kL以上:特定事業者又は特定連鎖化事業者

工場・事業場単位の年間に使用するエネルギー量(原油換算値)より
3,000kL以上/年:第一種エネルギー管理指定工場
1,500kL以上/年:第二種エネルギー管理指定工場

報告書等の提出
単位の変更

工場・事業場単位で定期報告書を提出

定期報告書、中長期計画書を提出

事業者全体の定期報告書の内訳として当該工場・事業場のエネルギー使用量等を定期報告書に記載

選任すべき者

エネルギー管理指定工場ごとにエネルギー管理者またはエネルギー管理員の選任

エネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者をそれぞれ1名選任

エネルギー管理指定工場ごとにエネルギー管理者またはエネルギー管理員の選任


 

 OECでは、当社のエネルギー管理士により、各事業体の皆様のニーズに応じた下水処理場におけるエネルギー管理計画を策定致します。

業務実施のメリットや効果

エネルギー使用量等を把握します。
省エネルギー対策の問題点を抽出します。
経済性を考慮した中長期計画を作成します。
報告書作成

 

【エネルギー管理計画の策定フロー】

エネルギー管理計画の策定フロー


 

7.下水道へのディスポーザ導入検討業務

概要
 家庭等で発生する生ごみの処理を目的にディスポーザーを設置することは、下水道への負荷増大、水環境への影響リスクなどにより、処理槽付きディスポーザーを除き、ほとんどの自治体において導入が制限されてきました。近年、都市における生ごみ問題の深刻化、高齢化社会の到来、生ごみを含む有機性廃棄物の資源としての利用など、社会情勢が変化しており、特に有機物循環およびエネルギー循環の視点からディスポーザー導入に関心が高まっています。  「ディスポーザー導入時の影響判定の考え方(H17.7)」を参考に、ディスポーザーを導入した場合、想定される下水道システムへの影響について取りまとめたものである。各自治体が独自に、下水道事業・ごみ処理事業および地域特性等を考慮してディスポーザー導入「直接投入型(単体)ディスポーザー」の検討を行い、ディスポーザー導入の可否判断が可能となっています。


業務実施のメリットや効果

ディスポーザー導入による得失
(メリット)

・  ゴミの軽量化、減量化によるゴミ出し労働の軽減(特に高齢化社会、高層住宅等)
・  屋内に生ゴミを貯めないことによる悪臭の防止、衛生面の向上
・  積雪地帯での冬季ゴミ出し・収集作業の軽減
・  ゴミステーションでの鳥獣被害・悪臭発生等の軽減
・  ゴミの収集量・回数の減少による行政コスト削減
・  生ゴミと汚水の一体的な効率的処理
・  下水汚泥としてメタン回収等有効利用することによる生ゴミのリサイクル
・  下水汚泥としてメタン回収等有効利用することによる生ゴミのリサイクル推進等によるエネルギー・資源・コスト面での効率性の向上

(デメリット)

・  下水道管路内での堆積物増加による流下阻害、発生する硫化水素による管路の腐食リスク
・  下水処理場での汚濁負荷増大による処理水質悪化リスク
・  下水汚泥の発生量の増加及び汚泥性状の変化による汚泥処理コスト増加リスク
・  合流式下水道における雨天時越流水の水質悪化リスク
・  生ゴミ以外の投入によるトラブル、環境汚染の増加リスク

 

【ディスポーザー導入時の影響判定フロー】
 
ディスポーザー導入時の影響判定フロー

(出典:ディスポーザー導入時の影響判定の考え方 平成17年 7月 国土交通省・国土技術政策総合研究所)

 OECでは、下水道システム、ごみ処理システム、市民生活等に対する影響について、環境面や経済面等を十分勘案したうえで、ディスポーザー導入について検討を行います。



8.下水道地球温暖化防止計画の策定業務

概要
 下水道事業は大量の温室効果ガスを排出している事業であり,普及の促進,高度処理化,合流改善対策の推進などにより,今後も温室効果ガス排出量の増加要因が見込まれる事業です。下水道温暖化防止計画は,下水道事業に係わる温室効果ガス排出量を把握し,適切な排出抑制対策等を講じることにより,地球温暖化対策の推進に寄与することを目的に策定します。


業務実施のメリットや効果

地方公共団体の事務事業の中で排出量の大きな事業である下水道の温室効果ガスの排出抑制
省エネルギー対策による維持管理経費の削減
温室効果ガス排出抑制対策に関する経験・知見の蓄積
地域住民に対する下水道における排出抑制に関する理解の増進
グリーン調達の推進

 

【水道温暖化防止計画策定の基本フロー(トップダウン方式)】
 
水道温暖化防止計画策定の基本フロー(トップダウン方式)

(出典:下水道における地球温暖化防止推進計画策定の手引き
          平成21年3月 下水道における地球温暖化防止対策検討委員会)


 

 OECは下記の業務で、@目標の設定、A基準年度の温室効果ガス排出量の算定・評価、目標年度の温室効果ガス排出量の推定、B対策による削減量の予測について計画を作成しました。集合処理区域の再編に伴う温室効果ガス削減量(CO2換算値)の算出を行いました。この事例の場合、汚泥の集約処理を実施した場合、温室効果ガス削減量(CO2換算値)は集約処理をしない場合の約76%という検討結果となりました。


【温室効果ガス削減効果の検討例】

(公共下水道、農業集落排水処理施設、コミュニティプラントの汚泥集約処理の有無で比較)
温室効果ガス削減効果の検討


 本業務では、@目標の設定、A基準年度の温室効果ガス排出量の算定・評価、目標年度の温室効果ガス排出量の推定、B対策による削減量の予測について計画を作成する。
 集合処理区域の再編に伴う温室効果ガス削減量(CO2換算値)の算出を行い、関係機関や住民に対し、関係市町村の地球温暖化防止への取り組み状況の一資料としてとりまとめている。



9.太陽光発電施設の設計業務

概要
 太陽光発電とは太陽電池を使った発電のことです。太陽光発電システムは、太陽の光を電気(直流)に変える太陽電池と、その電気を直流から交流に変えるインバータなどで構成されています。太陽光発電は、発電のための燃料が不要で、本質的には安価な発電設備といえます。しかし、現在ではまだ太陽電池などの製造コストが高く、火力発電などと比べると発電コスト(設備の費用などから計算するコストで電気代に相当するもの)が高いため、利用が制限されています。


【太陽光発電の特徴】

長所

・  発電部(セル)は原理的に可動部分が無く、磨耗等による機械的な故障が起きない
・  規模に関わらず発電効率が一定であるため、小規模・分散運用に向いている
・  発電時に廃棄物・温排水・排気・騒音・振動などの発生がない
・  出力ピークが昼間電力需要ピークと重なり、需要ピーク電力の削減に効果がある
・  需要地に近接して設置できるため、送電のコストや損失を最小化できる
・  蓄電池の利用で非常用の電源となりうる
・  他の発電方式と比較して設置の制限条件が少ない。建築物の屋根や壁面にも設置できるため、土地を占有せずに設置することが可能

短所

・  単純な発電電力量当たりのコストが他の発電方法に比べて割高な場合が多い
・  夜間は発電せず、昼間でも天候等により発電量が大きく変動する
・  配電系統へ連系する場合、設備量の増加に伴って系統インフラの改造(スマートグリッド等)が必要
・  設置面積当たりの発電量が集中型の発電方式に比べて低い
・  スケールメリットが効かないため、設置規模を大きくしても発電効率が向上しない
・  高温時に出力が落ちる
・  影、汚れ、火山灰・降雪等で遮蔽されると、その分出力が落ちる

出典:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
http://app2.infoc.nedo.go.jp/kaisetsu/neg/neg01/index.html#elmtop


 

【事例紹介】

自然エネルギーの活用 − 太陽光発電(千葉県)

 ・設置面積    :約400u(ポンプ棟屋上)
 ・太陽電池容量 :57kW以上
 ・年間発電量   :約 6万 kWh/年
 ・共用開始    :平成 19年 10月



10.風力発電施設の設計業務

概要
 風力発電は、「風」の力で風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて電気を起こすものです。風は自然界に無尽蔵に存在し、発電時にCO2や廃棄物を出さないクリーンエネルギーであることから、普及に大きな期待を集めています。しかし一方で、無風状態では電気を発生しないなど、エネルギー源としては不安定であり、立地の制約を受ける面もあります。


【風力発電の特徴】

長所

・  二酸化炭素などの温室効果ガス排出量の低減効果がある。
・  工期が短く、需要総量の変動に対応しやすい。また投資してから運転開始までの利子も少なく済む。
・  運転用燃料を必要としないため、物価変動由来(インフレなど)の事業リスクを減らせる。
・  離島など、燃料の確保や送電コストの高い地域の独立電源として活用できる。
・  冷却水を必要としない。
・  小型のものは需要地に隣接して設置可能である。
・  風が吹けば夜間を含めいつでも発電が可能である。

短所

・  風況が発電の採算性に大きく影響する。
・  風速の変動に伴って、出力の電圧や力率が需要と関係なく変動する。
・  周囲に騒音被害を与える恐れがある。
・  ブレードに鳥が巻き込まれて死傷する場合がある。
・  落雷などで故障したり、事故の原因になる場合がある

風車の形式は、以下のとおり区分されます。

(出典:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))

 

【事例紹介】

自然エネルギーの活用 − 風力発電(茨城県)

・設備概要 :2,000kW 発電設備1基(風車高さ約120m、直径80m)
・風車方式 :ダウンウインドローター
・環境効果 :電気使用量 約20%削減、CO2 約20%削減
・供用開始 :平成24年2月



≪関連リンク≫
鹿島特定公共下水道・深芝処理場で風力発電の運転開始(茨城県公式HP)
http://www.pref.ibaraki.jp/hotnews2/2012_02/20120203_01/


合流式下水道の改善

1.合流式下水道改善計画の策定業務

概要
 平成15年の下水道法施行令改正に伴い、合流式下水道については、雨水吐口からの雨天時放流水量を減少させること、放流水の水質を分流式下水道の雨水水質と同程度の水質にすること等が規定され、合流式下水道を有する全国191都市において、原則として平成25年度(処理区域面積が大きい場合は平成35年度)までに対策を完了することが義務付けられています。


業務実施のメリットや効果
 流出解析モデルを用いたシミュレーションにより、現状の汚濁負荷流出状況や下記に示す「入れない」・「送る」・「貯める」による改善対策効果の適切な把握、対策案の作成、評価、選定を検討することができます。


機 能

説 明

対策メニュー

雨水を合流管渠に
「入れない」

雨水を合流管渠に入れずに、合流下水中の雨水量を減らす対策

浸透施設
分流化
雨水分離

雨天時下水を処理場に「送る」

遮集容量を増強し雨天時の処理量を増やす対策

遮集容量の増強
高速ろ過、凝集分離、
雨天時活性汚泥法

雨天時下水を「貯める」

未処理下水や遮集雨水を貯留し、降雨終了後に処理施設に送水して処理を行う対策

貯留施設
雨水滞水池

(出典:効率的な合流式下水道緊急改善計画策定の手引き(案)の概要説明 国土交通省HP)


【合流改善計画策定フロー】

合流改善計画策定フロー

注1.  流出解析モデルによるシミュレーションは、改善目標値の設定と改善計画策定において一体的に行うことが可能。
注2.  既に合流改善計画を策定あるいは実施している都市においては、既計画を十分に評価し活用すること。

(出典:下水道施設計画・設計指針と解説 (社)日本下水道協会)


 OECは、各都市の都市計画、財政状況などに合わせて合流式下水道計画策定のためのモニタリング・目標設定・対策施設の選定・対策導入効果のシミュレーション・事前の費用効果分析に基づき改善計画の策定を行います。これらを実施することにより、既存施設の有効活用やSPIRIT21などの新技術の導入を考慮した最適案を得ることができます。


公共水域の水質改善

1.下水処理場の高度処理計画の策定業務

概要
 三大湾(東京湾、伊勢湾、大阪湾)や指定湖沼などの閉鎖性水域の多くでは、窒素・燐の水質環境基準が未達成です。これらの水域では、栄養塩類の流入を原因とした富栄養化による赤潮・青潮、アオコ等の発生により、水産業、生態系、景観に与える影響が顕在化しています。
 閉鎖性水域の水質改善には、当該流域の流域別下水道整備総合計画(流総計画)に記載されている計画処理水質を確保できる施設の建設・運転が必要となります。

下水道法の一部改正により、下水道管理者は、他の下水道管理者が行う高度処理(窒素又は燐を多くかつ確実に除去することができる処理)を併せて効率的に行うための処理施設を設置することができることになっています。


【高度処理の積極的な推進】

(出典:国土交通省HP)


業務実施のメリットや効果

既存施設を最大限に活用しながら、窒素又は燐に関する削減目標量を定められた終末処理場の削減目標を達成するための削減方法が検討できます。
対象施設の現状、部分的な施設・設備の改造、建設費、維持管理費等も考慮した、段階的な高度処理施設の導入計画が策定できます。

 OECでは、計画放流水質に応じた「処理方式の選定→施設計画案の立案→概略設計→費用算出」の検討手順で最適な高度処理方式を選定します。また、既設処理場の場合は、既設の土木躯体や機械・電気設備などの更新計画、長寿命化計画等、各事業者の抱える改築・更新計画等を考慮した上で、経済性に優れた施設計画案を立案し、お客様のニーズに応えます。



2.活性汚泥モデル(ASM)を用いた運転支援検討業務

概要
 下水処理水に求められる水質基準は厳しくなり、より高度な処理が求められている一方で、指定管理者制度や包括的民間委託制度、運転管理業務の見直し等によるコスト削減も求められています。処理場は、立地条件や気候・流入条件による運転方法等によって汚泥性状が異なるため、一律に評価することが困難です。そこで、処理施設固有の条件を反映して処理プロセスを解析するツールである活性汚泥モデルを用いて、運転の最適化、効率化を検討することができます。


業務実施のメリットや効果

施設固有の条件を考慮した定量的な評価が可能です。
実施設を用いた検討よりも、多数の条件下でのシミュレーションが可能であり、多数の条件から最適案を選択することができ、更に、検討時間と費用の短縮に繋がります。

 本業務では、活性汚泥モデルを用いたシミュレーション技術(Bio-Solution)を用いて、下水処理施設に対する@省エネ化方策の検討、A高度処理化運転法案作成、B運転管理の適正化(硝化促進・硝化抑制)や安定化の検討を行います。
 業務フロー:各種モニタリングにより処理施設の現況調査を行い、シミュレーションソフト(BIO-SOLUTION)を利用して施設能力の解析を行います。この結果から、省エネ対策、運転管理の適正化等の提案を行います。また、実適用を行う前に、現地調査に基づく簡易分析により省エネ対策の可能性について判断していただくための作業も行っています。



3.下水処理水の再利用計画の策定業務

概要
 気候変動に伴い渇水リスクが増大する中で、下水処理水は、水洗用水、融雪用水、環境用水、工業用水、散水用水等様々な用途で再生水が利用されるようになってきています。都市内の貴重な水資源の確保、ヒートアイランド対策としての打ち水利用等の新たな利用用途も期待されており、再生水利用の重要性は、今後、ますます高まっていくことが予想されます。そのため、安定的に利用することのできる水資源として、処理水再利用計画の立案が必要となる。


業務実施のメリットや効果

水資源の確保につながります(水洗用水、融雪用水、環境用水、工業用水、散水用水等)。
渇水時の対策に繋がります。
下水処理水の再利用による社会的意義
低水流量の少ない水域への安定的な水供給
公共用水域の水質改善対策への寄与
地球温暖化対策

 本業務では、アンケート調査に基づいて再生水の用途・水質、必要供給量について検討し、その結果を基に再生水の用途・水質に応じて、適した施設の処理フローを提案します。また、再利用に当たっては、下水道管理者と処理水利用者の観点から、処理水の再利用事業の経済性についても検討します。


下水処理水の用途別再利用状況(平成18年度)

利用用途

処理場数

再利用量
(万m3/年)

割  合

1 水洗トイレ用水(中水道・雑用水道等)

53

676

3.5%

2 環境用水

 1) 修景用水

100

5,215

27.0%

 2) 親水用水

25

520

2.7%

 3) 河川維持用水

9

6,295

32.5%

3 融雪用水

40

3,480

18.0%

4 植樹帯散水

85

29

0.1%

5 道路・街路・工事現場の清掃・散水

66

20

0.1%

6 農業用水

29

1,143

5.9%

7 工業用水道への供給

2

279

1.4%

8 事業所・工場への直接供給

48

1,694

8.8%

286

19,351

-

 注 処理場数の合計は重複を排除したもの。
 (出典:下水道施設計画・設計指針と解説(前編)2009年版)


再生水利用に関する技術上の基準

 

基準適用箇所

水洗用水

散水用水

修景用水

親水用水

大腸菌

再生処理施設出口

不検出

不検出

備考参照

不検出

濁度

(管理目標値)
2度以下

(管理目標値)
2度以下

(管理目標値)
2度以下

2度以下

pH

5.8〜8.6

5.8〜8.6

5.8〜8.6

5.8〜8.6

外観

不快でないこと

不快でないこと

不快でないこと

不快でないこと

色度

40度以下

10度以下

臭気

不快でないこと

不快でないこと

不快でないこと

不快でないこと

残留塩素

責任分界点

(管理目標値)
遊離残留塩素0.1r/L又は結合残留塩素0.4r/L以上

(管理目標値)
遊離残留塩素0.1r/L又は結合残留塩素0.4r/L以上

備考参照

(管理目標値)
遊離残留塩素0.1r/L又は結合残留塩素0.4r/L以上

施設基準

 

砂ろ過施設又は同等以上の機能を有する施設を設けること

砂ろ過施設又は同等以上の機能を有する施設を設けること

砂ろ過施設又は同等以上の機能を有する施設を設けること

凝集沈殿+砂ろ過施設又は同等以上の機能を有する施設を設けること

備考

 

1)検水量は100mlとする(特定酸素基質倍地法)
2)利用者の意向等を踏まえ、必要に応じて基準値を設定
3)利用者の意向等を踏まえ、必要に応じて臭気強度を設定
4)供給先で追加塩素注入を行う場合には個別の協定等に基づくこととしても良い

1)検水量は100mlとする(特定酸素基質倍地法)
2)利用者の意向等を踏まえ、必要に応じて基準値を設定
3)利用者の意向等を踏まえ、必要に応じて臭気強度を設定
4)消毒の残留効果が特に必要のない場合には適用しない
5)供給先で追加塩素注入を行う場合には個別の協定等に基づくこととしても良い

1)暫定的に現行基準(大腸菌群数1000CUF/100mL)を採用
2)利用者の意向等を踏まえ、必要に応じて上乗せ基準値を設定
3)利用者の意向等を踏まえ、必要に応じて臭気強度を設定
4)生態系保全の観点から塩素消毒以外の処理を行う場合がある事及び人間が触れることを前提としない利用であるため規定しない

1)検水量は100mlとする(特定酸素基質倍地法)
2)利用者の意向等を踏まえ、必要に応じて上乗せ基準値を設定
3)利用者の意向等を踏まえ、必要に応じて臭気強度を設定
4)供給先で追加塩素注入を行う場合には個別の協定等に基づくこととしても良い

 (出典:下水処理の再利用水質基準等マニュアル 平成17年4月(国土交通省))


 

未普及地域の解消

1.人口減少下における下水道計画手法

概要
 我が国は、平成18年をピークに人口減少に転じ、50年後にはピーク時の約7割にまで人口が減少することが予測されています。また、昨今の財政事情も厳しさを増しており、下水道事業の整備・管理に対しても深刻な影響を及ぼすと思われます。今後は、必要に応じて持続的に適切な下水道整備・管理を実施できるよう、これまでの人口増加等を前提とした下水道計画手法に新たな考え方を導入する必要があります。


業務実施のメリットや効果

人口減少下における地域特性や時間軸を考慮した下水道整備手法の選定、計画区域の設定、人口フレーム・計画諸元の設定、下水道施設計画の策定が行えます。
既存ストックを有効に活用しながら、効率的な処理施設の高度化を図れます。また、他の汚水処理施設を含む処理区の統廃合、水処理施設、汚泥処理施設の共同化を計画に反映できます。併せて、あらたな再資源化施設への取り組みを推進できます。
人口減少による使用料収入減等に備え、適切な財政見通しを立て、事業の継続性を確保できます。

@ 全体計画の策定・見直し
 1) 将来人口の予測と計画人口の設定
 2) 全体計画区域の設定・見直し
 3) 整備手法のあり方(下水道整備重点区域、
    機動的な整備手法の導入区域の設定等)
 
A 下水道の質的向上に向けた既存ストック有効活
   用
 1) 処理施設の高度化
 2) 処理区の統廃合、処理施設の共同化
 
B 人口減少を見込んだ適切な財政見通し
 




2.地域特性を踏まえた新たな整備手法の導入

概要
 下水道の未整備地域を抱える多くの地方公共団体は、人口減少、高齢化の進展や厳しい財政状況に直面しています。このような状況の下、今後いかに早急かつ効率的に下水道の未整備地域を解消していくことが重要な課題で必要不可欠となります。
 これらの課題を解消するために、国土交通省では「下水道未普及解消クイックプロジェクト」を発足させて、地域特性を踏まえた新たな整備手法の導入を行い、地域の実状に応じた低コストの下水道整備を行います。


業務実施のメリットや効果

従来の技術基準等にとらわれず、地域の実情に応じた低コストの新たな整備手法を導入。
実証を行った上で類似地域への適用を促進。
住民協力の要請など地域住民に参画を促進。

 本業務では、従来の技術基準等にとらわれず、地域の実情に応じた低コストの新たな整備手法を積極的に導入する事を前提に、@人口減少を踏まえた分散処理区の設定、A極小規模処理施設の採用、B露出配管の採用についての検討及び設計を行います。



3.集落排水・浄化槽他の汚水処理施設との連携強化

概要
 全国の汚水処理人口普及率(平成29年度末)は90.9%となりましたが、汚水処理施設を利用できない人口が中小市町村等を中心に約1,200万人も残っており、汚水処理施設を利用できない地域に、いかに効率的、かつ早急に下水道整備を行っていくかが課題となっています。
 そこで、国土交通省では、「下水道未普及解消クイックプロジェクト」を発足させ、その一つの施策として集落排水・浄化槽他の汚水処理施設との連携強化の推進が挙げられています。

(出典:国土交通省HP)


業務実施のメリットや効果
@ 組織体制の一元化
A 低コストで機動的整備
B 管理・経営における連携強化
C 人口減少下での既存ストックの有効利用


 本業務では、組織体制の一元化や会計の一体的管理など管理・経営における連携強化の取り組みを推進することを目的に、既存施設(農集排・コミプラ・合併浄化槽など)の活用や統廃合も含めた関連事業の積極的な連携施策の導入可能性検討及びその設計を行います。


 

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